薬は体に入ると、胃や腸などから体内に吸収され、血液に溶け込みます。その血液中の薬の濃度(薬の血中濃度)が上昇し、ある一定の濃度を超えると薬の効果が現れます。
そして時間がたつと薬は肝臓で分解(代謝)され、やがて腎臓などから体外へ排出されます。
薬の血中濃度
薬が本来の効果を発揮するには、必要な量を決められた時間に飲むことが重要になります。
薬の量を自分で勝手に増やしたり、飲む回数を増やしたりすると血中の薬の濃度が高くなりすぎ(血中濃度が副作用域に達し)、危険な副作用を起こしたりすることがあります。逆に飲む量や回数を減らしたりすると、薬の効果が現れる有効域まで血中濃度が高まらず、病気が進行・悪化してしまう可能性が考えられます。
このように、きちんと効果的に治療するためには、決められた用量・用法を守って正しく薬を飲むことが大切です。
薬を飲んだときに、本来の効果以外の作用が起こる場合があり、これを「副作用」といいます。
副作用はたくさんの薬を飲むことの多い高齢者になるほど、多く現れます。
副作用予防のために
副作用は風邪薬を飲んで眠くなるというような軽いものから、生死に関わる重大なものまで、様々なレベルがあります。
ただし誰にでも必ず起こるというものではなく、飲んだときの体調やその人の体質などが大いに関係しています。また重い副作用でも、初めは軽い副作用が初期症状として現れることが多いので、医師や薬剤師から薬を受け取る際しっかりこの初期症状について聞いておけば大事に発展することはないでしょう。
しかし副作用をむやみに心配し、勝手に必要な薬の服用をやめてしまうと、治療が長引いたり、病気を悪化させてしまうことになりかねませんので、必要な薬をきちんと使用しましょう。決められた用量・用法を守って正しく使えば、副作用が現れる可能性は低くなります。
薬を服用していて体に異変を感じたら、すぐに医師・薬剤師に相談するようにしてください。
薬には様々な色や形があり、湿布薬などの貼り薬や点眼薬など患部や用途に合わせて使いやすくしてあったり、カプセル剤や糖衣錠など飲みやすく工夫したものがあります。そのほか錠剤、散剤(粉薬)、顆粒剤、液剤、坐薬、塗り薬、吸入剤、注射剤などがあります。
薬を飲むときは、コップ一杯の水もしくは白湯で飲むようにしましょう。水の量が足りないと喉の粘膜に炎症を起こしたり、潰瘍ができたりすることがあります。
錠剤やカプセル剤は必ずプラスチックの包装から取り出して服用してください。また勝手にカプセル剤を開けて中の薬を出したり、錠剤をつぶすことはやめましょう。薬によっては効果がなくなる場合があります。
錠剤やカプセル剤が飲みにくい人は、医師・薬剤師に相談すると、他の剤形に変えられる場合もあります。
医療用医薬品と一般用医薬品
医療用医薬品とは、医師の処方箋がなければ使用できない薬で、作用が強く、患者さんそれぞれの病態に応じて処方されます。
対して一般用医薬品は一般薬、大衆薬ともいわれ、街の薬局・薬店で購入することができ、比較的安全性が高く、多くの方の共通した症状に対応することができるものです。
薬の飲み忘れを防ぐため、薬局では飲む時間ごとの薬を1つの袋に入れて処方するなどの工夫を行っていることがあります。飲み忘れることが多い、薬の種類が多く服用方法が複雑な場合などは薬剤師に相談してみましょう。
もしも飲み忘れた場合、原則としては気が付いたとき服用してください。しかし薬によっては一定の間隔できちんと飲まなければ効果を発揮しないもの、飲み方を間違えると命に関わるものなど不規則な飲み方は大変危険です。
気づいた時点で医師・薬剤師に相談したり、処方されたときに飲み忘れの際や食事が不規則な場合の対処の仕方を聞いておくと安心です。
服用時間
くすりの服用時間には以下のようなものがあります。
食前 | 食事の約30分前 |
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食後 | 食事の後30分以内 |
食間 | 食事の2時間から2時間半後 |
食直後 | 食事の後すぐ |
就寝前 | 寝る約30分前 |
時間毎 | 食事とは関係なく、一定の時間毎 |
その他医師や薬剤師の指示に従って、服用してください。
薬は種類ごとに区別して、湿気、日光、高温を避け、乾燥剤と共に缶などに入れて子供の手の届かない所に保管しましょう。
冷所保管と書かれたものは、夏場は特に注意し冷蔵庫に保管してください。
光で変質しやすい薬は、光を遮る袋や瓶などの容器に入れたり、真っ暗な場所で保管しましょう。
また、薬にも有効期間(使用期限)があるので、定期的に整理して、古いものは使わないよう気をつけてください。
薬の扱い・・・処方された薬はあなただけのもの
患者さん一人ひとりのその時の症状や体調に合わせて、医師は薬を処方しています。たとえ症状が同じであっても他人に薬をあげることはやめましょう。あげた薬が他人にとって毒となることさえあります。
また再び同じ症状が出たからといって、飲み残した薬を飲むのはやめましょう。自己判断で薬を使用せず、改めて医師の診察を受けるようにしてください。そして飲み残した薬は、治療が終わった時点で原則として破棄するようにしてください。